気をつけたい言葉 understand
日本人はわりと不用意にDo you understand? を頻繁に言うようです。
しかし、少し注意しましょう。
あなたが誰かにあることを説明しているとします。そして相手がちゃんと理解してくれているか気になったとします。
そこで、Do you understand?
これには以下のような響きがあります。
あなたに私の言っていることを理解できるだけの思考力がありますか。
あなたに私の言っていることが理解できるだけの知識がありますか。
かなり失礼ですね。
私はまず言いません。人をしかりつけたり、注意したり、
わりと上から物を言うときになら使えそうです。
私がクラスの中で生徒さんに何かを説明するときは、英語を普通の早さで話して説明するので、中にはついて来れない人もいるかもしれませんし、しっかりついてきてくれてるかな、みたいな意識が働いて、
Are you with me?
あるいはなぜそうなるか、みたいなことを説明した後などは、
Does it make sense to you?
と聞いたりします。あるいはより丁寧に、謙遜の意味も含めると、自分の説明がひょっとしたら不十分かも、という意識が働いて、
Am I making myself clear (to you)?
と聞いたりします。
Do you understand? とはまず言いません。
このunderstandと言う動詞に関しては私には実は苦い経験があります。
私がアメリカの某大学で講師をしていたころ、近くのコミュニティカレッジの30代くらいの女性が日本に興味があったようで、よく話すようになりました。そしてあるとき、その方が取っている数学のクラスでかなり手こずっていることを話されました。日本人は数学が得意なことをどこかで聞いた彼女は私にtutoring(個人レッスン)で分数を教えてほしいと頼まれました。(ちなみにアメリカ人は本当に数学が苦手で、分数の足し算や引き算が出来ない人はたくさんいます。)
以前家庭教師の経験もある私は、すぐに引き受けたのですが、それにしても本当に苦労しました。なかなか理解されず、何度教えても分数の足し算で分母と分母を足してしまう彼女につい言ってしまいました。
You don’t understand.
この時の彼女の反応に私は驚きました。
明らかに憤りの色が目の中にみて取れました。
彼女は少し語気を荒げて、
I don’t understand?
引っ込みがつかなくなった私は、まずいことを言ってしまったか、と思いつつも。
No, you don’t.
とさらに言ってしまいました。
その後の気まずい雰囲気は想像にお任せします。
結局それいらい、彼女は二度と私を訪れませんでした。
例えば、相手に良かれと思ってしたのに、そのことを全く分かってもらえず、逆にこちらを責められているようなときに、
You don’t understand.
と言うなら分かります。でもあの時の状況では
あなたには理解力が無い。みたいに聞こえたはずです。
侮辱されたように思ったのでしょうね。
あのとき、はっきり言うとしても、少なくとも、
No, that’s wrong.
とか、年上の方だったので、もっと丁寧に、
Maybe I haven’t explained it to you well enough. Let me try one more time.
とか、言っていれば、何の問題も無かったはずです。
外国語でのコミュニケーションの難しさを痛感した経験です。
言葉の微妙なニュアンスも分かっていないと、大失敗するなと思いました。
私はもしかすると、本当はとてもいい友達になる方を失ったのかもしれません。
気をつけたいものですね。
2014年8月8日 18:37 - CATEGORY : Blog