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英語の敵、”言わなくても分かるでしょ”メンタリティー

英語を話す上で、ほとんどの日本人が共通に抱える問題があります。それは私流に言うと、”言わなくても分かるでしょ”メンタリティーです。日本語はやはり以心伝心という文化の上に成り立つ言語ですから、日本語では言わなくても文脈から分かる、と思うことは言いませんし、言わないほうが自然です。
以下の親子の会話文を読んでみてください。
子供:今朝はちゃんと歯を磨いたよ。
母:誰が磨いたの。
子供:えっ? もちろん僕だよ。
母:誰の歯を磨いたの。
子供:何言ってんの。僕の歯に決まってんじゃん。

こんな会話は普通ありえないですね。自分以外の人が磨いたのなら、それをきちんと言うはずだし、自分以外の人の歯を磨いたのなら、それもきちんと言うはずです。それを言わないという言うことは、それをしたのは当然話して本人で、その人の歯を磨いたのだと聞き手に伝わるのですね。

ところが英語では、この”言わなくても分かるでしょ”メンタリティーが全くないとは言わないまでも、実に希薄です。ですから、英語では
I brushed MY teeth.
といいますね。

いや、わかっている、とお思いでしょうか。でも、このメンタリティーが日本人の英語を日本人英語にしてしまうことがしばしばあります。
例えば、
小学1年生のころからスイミングスクールで水泳を長く習っていたある大学生が水泳をやめたときの話をしていたことがありました。なんでやめたか聞いたとき、
I quit swimming because I entered junior high school.
その応えに目をぱちくりしていた私に、やはり同様に目をばちくりしながら、彼は、何?なんで、なんか俺変なこと言った?みたいな表情で私を見ていました。
これを日本語に置き換えてみましょう。
私:えっ?それでなんで水泳やめちゃったの?
彼:中学にはいったから・・・それで。

そのときの彼の表情や、雰囲気にもよるのですが、日本人なら、これでかなりわかってしまうのですね。
日本人なら、こう思います。
「なるほど、中学に入るといろいろ勉強や部活、あるいは塾などで忙しくなるから、スイミングスクールに通う暇がなくなったんだね。」
日本人の以心伝心は私たちが思っている以上にすごいものがあります。
でも英語でここまで期待することは無理です。
英語のメンタリティーなら、中学に入ることと水泳をやめることと何の関係があるの?となります。
I got much busier after I started junior high school. I had to spend much more time studying and I also joined the soccer club. So I needed to quit swimming.
例えばこんな風に言う必要がありますね。

私のFacebook Page の投稿にある例文も同様です。
たまの休みに家でのんびり過ごそうと思っていたのに、5歳の娘が、という文脈で、
…but my daughter asked me to go to the park.
この通り解釈すると、
家にいないで公園にでも行ってよ、とよほど嫌われた父親のような印象を受けます。
my daughter asked me to go to the park WITH HER.
このwith her を言わなかったのも、”言わなくても分かるでしょ”メンタリティーのなせるワザです。(takeを使えばさらに自然に言えますね。my daughter asked me to take her to the park.)

もうひとつ例を出しましょう。
makeという単語を使いこなすためのレッスンをしていたときのことです。
What do you think makes your father happy?
この質問に対して、ある若い女性の生徒さんが、
I think talking with him makes him happy.
私は違和感を感じます。
誰がお父さんと話すか、その情報がないからです。主語がないという文法的なことではなく、それを言わせななかったのは、”私にきまっているでしょ” という”言わなくても分かるでしょ”メンタリティーがあったからです。
When I talk with him, I think it makes him really happy.

どうでしょう。
このように、私たち日本人がコミュニケーションが持っている独特のコミュニケーションスタイルは、日本人同士のコミュニケーションを円滑んする上では大いに役に立っていますが、それが英語を話すときには、必要な情報を言わせない障害になってしまうことを私たち日本人は常に頭に置いておくべきだと思います。

2015年8月9日 9:31 - CATEGORY : Blog




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